サーキュラーエコノミーとは?
廃棄型経済からの脱却と新たな経済価値創出の仕組み
- サーキュラーエコノミー
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- サステナビリティ
- サプライチェーン
公開日:2026年6月22日
サーキュラーエコノミーとは、限りある資源を循環させ、経済成長と環境保全を両立させる経済モデルです。製品設計から廃棄までの全工程にわたって資源を循環的に利用することで、環境負荷を低減しながら新たな経済価値を創出します。 本記事では、サーキュラーエコノミーの概念、注目される背景、メリットや課題、そして国内外の動向について解説します。
サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミーの定義と3原則
サーキュラーエコノミーとは、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済システム(リニアエコノミー)に代わり、資源の効率的・循環的な利用を図りながら、付加価値の最大化と環境負荷の低減を同時に達成する経済モデルです。
この概念を世界的に牽引しているイギリスの推進機関「エレン・マッカーサー財団」は、サーキュラーエコノミーを以下の「3原則」に基づいた経済モデルであると定義しています。
1. 廃棄物と汚染を設計段階から排除する
廃棄物が発生してからどう処理するかを考えるのではなく、製品の企画・設計(デザイン)の段階から、廃棄物や環境汚染物質が出ない仕組みを構築すること。
2. 製品と素材を最も価値が高い状態で使い続ける
作られた製品をなるべくそのままの形で長く使い続けること。そして、故障や摩耗などの理由で使い続けることが難しくなった場合には、部品や原材料としてリサイクルすることで素材として循環させ続けること。
3. 自然のシステムを再生する
環境へのダメージを減らすだけでなく、資源を循環させることで自然環境をより良い状態に回復・再生させること。
リニアエコノミーや3Rとの違い
サーキュラーエコノミーの本質を理解するためには、これまでの経済システムである「リニアエコノミー」や、従来型の環境対策である「3R(リデュース・リユース・リサイクル)」との違いを明確にすることが重要です。
・リニアエコノミー
「大量生産・大量消費・大量廃棄」を前提とした従来の経済システムです。資源を採掘し(Take)、製品を作り(Make)、消費して、最後は捨てる(Dispose)という「直線的(リニア)」な流れをたどります。
・3R(リユース・リデュース・リサイクル)
発生してしまった廃棄物をいかに処理し、減らすかという取り組みの総称です。廃棄物の削減による環境負荷の低減には貢献しますが、回収やリサイクルの際には多大なエネルギーやコストが必要になるといった課題もあり、最終的には廃棄・焼却される場合もあります。
| リニアエコノミー | 3R | サーキュラーエコノミー | |
|---|---|---|---|
| 前提とするモデル | 直線型 | 直線型 | 循環型 |
| 主な目的 | 効率的な大量生産と消費 | 廃棄物の削減と環境負荷の最小化 | 資源の価値最大化と新たな経済成長 |
| 廃棄物への考え方 | 寿命が尽きれば「ゴミ」 | 「ゴミ」になる量をできるだけ減らす | 最初から「ゴミ」の概念を持たず、すべてを「資源」と捉える |
| 価値の保ち方 | 使い捨て (長期で価値は保たれない) |
リサイクル(素材化)中心になりがち | 製品>部品>素材の順で本来の価値を維持する |
サーキュラーエコノミーが注目される背景
サーキュラーエコノミーが注目されるようになった背景には、現代社会が直面するさまざまな課題が関連しています。
世界的な人口増加や新興国の経済成長に伴って資源需要が急増している一方で、地球上の資源には限りがあります。また、廃棄物処理量の増加や海洋プラスチック問題など、廃棄物管理に関する課題も深刻化しています。さらに、気候変動問題への対応として、温室効果ガス排出量の削減が国際的に求められています。
これらの複合的な課題に対し、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提としたリニアエコノミーでの対応には限界があり、資源を循環させ環境負荷を低減するサーキュラーエコノミーへの転換が注目されています。
国内外におけるサーキュラーエコノミーの動向
世界の主要国や機関はサーキュラーエコノミーを国家戦略の中核に据え始めています。ここでは国内外の先進的な取り組みを見ていきましょう。
世界の動き
EUは、サーキュラーエコノミー推進において世界をリードしています。
その中核となるのが、2019年に発表された「欧州グリーンディール」です。2050年までの気候中立(ネットゼロ)達成を目指す包括的成長戦略の中心に、サーキュラーエコノミーを位置づけています。
この戦略を具体化したのが2020年の「循環経済行動計画(CEAP)」であり、主要製品のバリューチェーン全体でのサーキュラーエコノミー推進や、廃棄物削減を定めています。
また、これらの戦略を支える具体的なルールとして、以下のような規則・指令が次々と整備されています。
・エコデザイン規則
耐久性や修理のしやすさなど、EUで販売される製品が満たすべき持続可能性の基準と、「デジタル製品パスポート*」の導入を定めた規則。
・電池規則
EU市場で流通する電池に対し、原材料の調達から廃棄時の回収に至るまでのライフサイクル全体で、課されるリサイクル材の最低使用割合等の要件を定めた規則。
・修理する権利指令
保証期間終了後もメーカーに製品の修理を義務付け、消費者が修理サービスを容易に利用できる環境整備を定めた指令。
EUの強みは、大きな目標の下で包括的な政策枠組みを構築し、関連技術への投資支援を行いつつ、具体的な法規制によって企業や消費者の行動変容を強力に促している点にあります。これらの先進的な取り組みは、世界各国の政策立案に多大な影響を与えています。
*デジタル製品パスポート(DPP:Digital Product Passport):製品の原材料から製造工程、使用されている化学物質、修理方法、廃棄・リサイクル手順に至るまでのライフサイクル情報を電子的に記録し、アクセス可能にする仕組みのこと。欧州のエコデザイン規則(ESPR)で導入が義務付けられており、資源がどのように循環しているかを可視化するための鍵とされている。
日本政府や自治体の取り組み
EUの動きに呼応するように、日本国内でもサーキュラーエコノミーへの移行に向けた動きが加速しています。
経済産業省は2020年に「循環経済ビジョン」を策定し、中長期的な産業競争力の強化に向けてサーキュラーエコノミーへの転換を推進しています。また、環境省もプラスチック資源循環促進法(2022年4月施行)などを施行し、国内の資源循環システムの構築を後押ししています。各自治体においても、廃棄物ゼロを目指す「ゼロウェイスト宣言」や、地域内での資源循環モデルの構築など、地域特性を活かした独自の取り組みが広がっています。
企業がサーキュラーエコノミーに取り組むメリットや課題
サーキュラーエコノミーは、環境保全だけでなく、新たな経済価値の創出と持続可能な経済成長の実現に向けた経済モデルとしても注目されています。企業がこのモデルに移行することで得られるメリットと、推進する上で直面する課題について解説します。
サーキュラーエコノミーへの移行がもたらすメリット
・新たな経済的・ビジネス的価値の創出
資源効率の向上や廃棄物処理にかかるコストの削減はもちろん、リサイクル・リユース分野での市場拡大や新たな雇用の創出が期待できます。さらに、循環型ビジネスモデルを構築することで、資源の安定供給を確保しつつ、資源価格の変動や環境規制強化のリスクを軽減できます。
・競争優位性とブランド価値の向上による持続可能な経済成長の実現
資源循環を通じた環境課題への対応をビジネス上の価値として経営に統合することで、ESG投資家からの高い評価が期待できます。また、環境と経営が一体化した持続可能なビジネスモデルは、環境意識の高い消費者からの支持も集め、市場における強固な競争優位性の確立とブランド価値の向上につながります。
・脱炭素社会・温室効果ガス削減への貢献
サーキュラーエコノミーの推進は、CO2排出量の削減に大きく貢献します。製品のライフサイクル全体で環境負荷を考慮し、資源の有効活用と廃棄物削減を両立させる仕組みは、気候変動対策の重要な要素です。
推進する上での課題と留意点
一方で、サーキュラーエコノミーの導入・実装に向けては、クリアすべきいくつかの課題も存在します。
・バックファイア効果のリスク
「リサイクル率を高めるための処理工程で、かえって多大なエネルギーを消費してしまう」といったように、逆に温室効果ガス排出量が増加してしまうリスクのことを「バックファイア効果」と呼びます。
これらを回避するためには、サーキュラーエコノミーが適切に設計・実施されることが必要です。具体的には、単一の指標にとらわれず、エネルギー効率や材料の選択など、
多角的なマネジメントを通じてライフサイクル全体での影響を考慮したアプローチが求められます。
・サプライチェーン全体での連携強化
真のサーキュラーエコノミーを実現するためには、自社単独の取り組みでは限界があります。リサイクル技術や製品設計の革新に加えて、消費者の行動変容を促す仕組みづくり、
そして何より調達から製造、販売、回収に至る「サプライチェーン全体での連携強化」が不可欠となります。
サーキュラーエコノミーとSustainaLink
サーキュラーエコノミーの実現には、自社単独の取り組みだけでなく、調達から製造、販売、回収に至るサプライチェーン全体での連携が不可欠です。また、製品のライフサイクル全体で環境負荷を低減し、「バックファイア効果」を防ぐためには、資源を循環させる過程で不可欠となる物流領域のGHG排出量を正確に把握し、削減していくことが求められます。
三井倉庫グループでは、企業のサプライチェーンサステナビリティに関する課題を解決する物流サービス「SustainaLink(サステナリンク)」を展開しています。
SustainaLinkでは、お客様からご提供いただく物流データをもとに、物流活動から排出されるCO2排出量を一括で算定し、サプライチェーン上の課題を可視化することが可能です。
算定プロセスは、CDPやSBTiからも推奨される物流業界向けガイドライン「GLEC
Framework」や国際規格「ISO14083:2023」に準拠しており、国際輸送における算定にも対応した高品質なデータを提供します。
さらに、算定結果に基づく輸送の効率化やモーダルシフトなど、CO2排出削減に向けた具体的な物流改善策の提案も行っています。
サーキュラーエコノミーへの移行に向けたサプライチェーン全体の環境負荷低減や、物流におけるCO2排出量の算定・削減をご検討の際は、ぜひ三井倉庫グループへご相談ください。
















