フォスター電機株式会社様

音響機器の製造・販売をグローバルに展開されているフォスター電機株式会社様。温室効果ガス(GHG)排出量削減に取り組む中で、排出量の算定作業に関わる負荷や、算定したデータの妥当性に課題を感じていらっしゃいました。今回、三井倉庫グループでは「SustainaLink」を通じ、フォスター電機様の課題解決に努めました。

導入の背景・課題

−−「SustainaLink」導入前に抱えられていた課題について教えてください。

当社ではスピーカーや音響機器、電子機器の製造・販売を行っており、中でも車載オーディオ機器を主力商品としています。製造拠点は中国・ベトナム・ミャンマーなど、販売拠点は北米・ヨーロッパ・日本・中国などがあり、拠点間の物流には主に海上輸送を利用しています。
当社では気候変動への対応を重要な経営課題と認識しており、GHG排出量削減の取り組みを進めています。Scope1、Scope 2への対応はもちろんScope 3についても、自社でコントロール可能な領域から施策を進めています。
また、当社の事業はOEM*が多くを占めています。近年、ESG経営に力を入れる企業が多くなり、環境負荷に関する詳細な情報開示が求められるようになりました。これらの情報がお客様やESG評価機関から評価される、ということも、当社がサステナビリティに力を入れる理由の一つです。

*OEM:委託を受け、他社ブランドの製品を製造すること

GHG排出量の算定は今まで自社で行っていましたが、Scope3の算定に必要な膨大なデータの収集や集計の作業負荷が大きいこと、当社製品の輸出入に係るGHG排出量の全体像が見えないこと、可視化されたGHG排出量に対する具体的な削減施策の立て方などに課題を抱えていました。また、算定は環境省のガイドラインに沿って行っていましたが、私たちは物流領域のGHG排出量算定においては専門家ではないため、本当に正しい算定ができているのだろうかという不安も抱えていました。

導入プロセス・内容

−−「SustainaLink」を知ったきっかけや、検討のポイントになった点について教えてください。

当社では以前から三井倉庫グループと輸送ルートの効率化などを共同で取り組んでおり、その流れでSustainaLinkをご紹介いただきました。物流領域のGHG排出量算定をお願いできるサービスが世の中にあること自体、このとき初めて知りました。
何度か打ち合わせをさせていただき、当社の現状を踏まえたさまざまな提案をしていただきました。上記課題を解決できる期待感に加え、営業担当の方の印象が良かったこともあり、導入を前向きに検討させていただきました。

−−依頼されたサービスについて教えてください。

依頼させていただいたのは、Scope3 Category4(輸送・配送)に関わるデータ集計・算定支援、見える化です。社内で行ってきたデータの収集と集計に関わる工数を削減して業務効率化をしたいというのが主な狙いでした。また当社製品の輸出入に係るGHG排出量の全体像を可視化したいということ、そして専門的な知見に基づいてGHG排出量削減につながる具体的な施策を提案していただきたいという思いから依頼しました。
SustainaLinkサービスの紹介を受けてから、準備期間とトライアルを経て、約1年で正式に導入することになりました。海外の拠点担当者に対してGHG排出量の算定工程が変わる旨を説明する必要があり、準備に時間はかかりましたが、三井倉庫グループと相談しながら実行できたため、安心感がありました。

効果・成果

−−「SustainaLink」を導入したことで、どのような効果・成果がありましたか?

従来、当社で算定していた時は、データの収集や加工、集計等作業に大体100時間程度かかっていました。それがSustainaLinkを導入してからは当社の物流管理システムから出力した生の物流データをそのままお渡しするだけでよくなり、大幅な工数削減・作業負荷軽減・業務効率化につながりました。
また、SustainaLinkを導入するまで、算定は1年に1回でしたが、導入後は3カ月に1回レポートをいただけるようになりました。データの締日から1カ月程度でレポートをいただける上に、ルートごとの詳細な値が分かるため、排出量の現状把握をスピード感を持って実施することができるようになりました。このデータは経営層への報告の他、当社で発行している統合報告書への掲載や、外部ESG評価機関・取引先のお客様へのデータ提供という形で活用しています。
また、専門性の高い三井倉庫グループに依頼することで、国際的な評価基準*で適切に算定されたデータをお客様に提供できる、という安心感が得られたことも成果でした。

*CDPやSBTiからも推奨される業界ガイドライン「GLEC Framework」や国際規格「ISO14083:2023」が求めるプロセスに準拠

今後の展開について

−−「SustainaLink」について、今後の活用方法や課題について教えてください。

SustainaLinkを導入したことで、特に算定を行っていたサステナビリティ推進部では業務効率化につながり、時間を確保できるようになりました。また輸送ルート別に現在の状況が分かるようになるなど、輸出入におけるGHG排出量がより詳しく見える化できたことで、ようやく排出量削減のための具体的な改善施策を打つ準備が整ったと思います。これからもSustainaLinkの力を借りつつ、輸送網の効率化、トラックの輸送を鉄道に変える(モーダルシフト)、異常値が出た場合は原因究明に努めるなど、具体的な施策を順次進めていく考えです。
また、現在は調達した原材料を当社の製造拠点まで運ぶ上流の輸送を対象としていますが、今後は下流の、当社の製造拠点からお客様の指定倉庫までの輸送のGHG排出量(Scope3 Category9(輸送・配送))の算定も行いたいと考えています。

−−貴社のサステナビリティについて、今後の目標や計画があれば教えてください。

Scope3排出量の削減はお客様から要請されていることでもあり、また当社ではESG経営を進めていこうという考えが強くなっていることから、GHG削減には引き続き力を入れていきます。SustainaLinkのおかげでCategory4に関しては効率的に算定できるようになり、具体的な削減施策も立てる準備ができました。今後は他のカテゴリに関しても、まずは社内で対応できる部分を中心に、対策を進めていきたいと考えています。

SustainaLinkについて
詳しく知りたい方は
お気軽に
お問い合わせください。

世界を舞台にフルスペックの物流機能を提供してきた三井倉庫グループには、様々な業種や幅広い
バリューチェーンに対する豊富な物流ノウハウがあります。
お客様の事業に合わせた柔軟かつ最適な提案・支援が可能です。