大手メーカー F社様

2027年3月期より時価総額3兆円以上の東証プライム上場企業は有価証券報告書でのサステナビリティ情報の開示が義務化されます。その対象となる大手メーカーF社様において、 三井倉庫グループの「SustainaLink」を導入いただきました。同サービスの一環である「 CO2排出量一括算定サービス:MS CO2 Analyzer」(以下、SustainaLink)を通じ、正確性・客観性・迅速性のある算定に貢献しています。

導入の背景・課題

−−「SustainaLink」導入前に抱えられていた課題について教えてください。

当社では従来、CO2排出量の算定に輸送コストを元に係数を掛け合わせる「料金法」を用いていました。しかし、2020年ごろ新型コロナウィルス感染症の世界的流行をきっかけに輸送コストが高騰し、 料金法での算定が実情に合わなくなった時期があり、算定方法の変更を考えるようになりました。
当社では製品の国内輸送を外部の物流業者に委託しており、車格・燃費・積載率などの情報が個別に必要となる「燃料法」での算定は現実的ではありませんでした。そこで輸送距離を元にする「トンキロ法」で算定でき、また工数削減ができる委託先を探し始めました。

導入プロセス・内容

−−「SustainaLink」を知ったきっかけや、検討のポイントになった点について教えてください。

展示会に出向き、CO2排出量算定をトンキロ法で行える算定ツールと、同ツールを活用した算定サービスを提供している企業様を探し、候補を4〜5社に絞り込みました。 「SustainaLink」も候補の1つとして挙がっており、そこから比較検討を重ねていきました。 「SustainaLink」を選んだ決め手となったのは、まず独自開発したツールで算定することにより、算定する上で必須になるデータ項目が他社と比較して少なく済むことがありました。 当社は傘下に多くのグループ会社や海外法人がいる企業であり、同じ単位で情報を揃えづらいケースが多くあります。 その点、「SustainaLink」であれば、出荷先・納品先の情報、メインの輸送方法、輸送重量など、必要最小限の情報があればCO2排出量算定が可能であることが大きなポイントとなりました。

また、算定方法がCDPやSBTなどからも推奨される業界ガイドライン「GLEC Framework」や国際規格「ISO14083:2023」が求めるプロセスに準拠しており、客観的な信頼性が担保されていることも魅力でした。

さらに、当社ではCO2排出量を有価証券報告書に掲載する関係で、迅速性も決定する上で必須の条件になっていました。有価証券報告書は決算月後3か月以内に開示しますが、 中でもSSBJ(日本サステナビリティ基準委員会)が策定したサステナビリティ情報開示基準への対応が必要な部分は、将来的に第三者保証の義務化が予定されています。 この保証を受けるためには、事前に第三者機関による審査を受ける必要があることから、算定に掛けられる時間は限られています。
その非常にタイトなスケジュールに対応していただけたことも「SustainaLink」を選択した理由になりました。

もう一つ付け加えるとすると、「SustainaLink」を提供しているのはロジスティクスのプロフェッショナルである三井倉庫グループであり、メーカーの物流よく分かってくださっている会社であることも選択の後押しとなりました。


−−依頼されたサービスについて教えてください。

現在はScope3 Category4の流通の一部、製品輸送のうちアウトバウンド*1の一部を対象に計測を依頼しています。当初は短期間で準備できる小規模なトライアルから始め、そこから徐々に計測範囲を拡大してきています。

*1: 製品が工場や倉庫から顧客のもとへ出荷される一連の流れ

効果・成果

−−「SustainaLink」を導入したことで、どのような効果・成果がありましたか?

「SustainaLink」導入前は料金法を用いて手計算を行っていました。「SustainaLink」導入後はトンキロ法での算定に変わったため、算定の精度やデータの信頼性も向上している印象があります。
当社では新規輸送先が毎月相当数増加しており、それに伴って輸送ルートも増加しています。その輸送距離の算定を今まではインターネット上の地図情報サービスなどを使って手動で行っていましたが、 「SustainaLink」導入後はお任せできるようになり、時間削減につながりました。また、SSBJ対応が必要な部分はスケジュールが非常にタイトになるため、業務を委託できることで、担当者のプレッシャーが軽減できているという感覚もあります。

また、導入検討時の期待通り、データ項目が少なく済むことが大きなメリットになりました。特に海外のグループ会社においては、必要な項目を集めようとしても測定項目や手段にばらつきがあり、 同一単位でのデータ収集が難しい場合があります。必要最小限の情報量で妥当な計測結果が得られるからこそ、安定して計測を続けられる。その意義が大きいと思います。
数値の正確性・客観性についても、「SustainaLink」は物流CO2の算定や報告方法について第三者機関による妥当性評価*2を受けているため安心感があります。 SSBJ基準を満たす上で必要になる第三者保証では、数値の根拠が妥当かどうか、当社の担当者がきちんと説明できるかが問われますが、 「SustainaLink」は前述の妥当性評価を取得していることが一つの安心材料になっています。

*2: CO2排出量算定について第三者機関による妥当性評価を取得
https://www.mitsui-soko.com/news/20220426

今後の展開について

−−貴社のサステナビリティの取り組みについて、今後の目標や計画があれば教えてください。

将来的なCO2排出量の削減目標がありますので、まずは排出量を正確に算出・把握し、その上で順次、削減施策の検討につなげていきたいと考えています。


−−「SustainaLink」について、今後の活用方法や課題について教えてください。

現在は製品輸送の一部のみ算定をしている状態です。情報がそろい次第、算定範囲を拡大していく予定です。
また、三井倉庫グループのサービスとして、「SustainaLink」で算定したCO2排出量データを活用し、省エネ法規制における報告書作成のアドバイザリーも可能と聞いています。このような付加価値は他社様には無いアドバンテージかと感じています。


(参考)「省エネ法とは? 企業が知っておくべき基本と対象事業者」
https://www.mitsui-soko.com/sustainalink/column/2506

SustainaLinkについて
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