倉庫ってなんだろう?
定義や歴史を通じて詳しく解説

  • 倉庫
  • 保管・入出庫
倉庫とはなにか?
定義・種類・機能について
倉庫や倉庫業の誕生
そして近代的な倉庫について
人々の生活を支え
進化する倉庫

人類の歴史において、物を「貯蔵する」「運搬する」といった物流技術の進化は、人々の生活や社会制度を支え、そして発展させるという点で重要であり、その意味で人類の代表的な知恵の一つといえるでしょう。現在では、「保管(貯蔵)」を行う倉庫業者や、「輸送(運搬)」を行う運送業者などが物流業を営み、社会インフラとしての役割を果たしています。こうした社会インフラとしての物流を構成する大事な要素の一つが「倉庫」です。物をある場所に留めておくこと、そして2地点間の移動の結節点としても利用される「倉庫」は、物流において欠かすことのできない存在です。今回はこの「倉庫」に関する基礎知識を定義や歴史などを通じて紹介したいと思います。

倉庫とはなにか?定義・種類・機能について

倉庫の定義

まず「倉庫」の定義について説明します。一般的に「倉庫」というと、物品を保管したり貯蔵したりするための建物をイメージされるのではないでしょうか。その一方、倉庫業法における「倉庫」とは、「物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作物又は物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作を施した土地若しくは水面であつて、物品の保管の用に供するものをいう。」と定められています。これはつまり、物品を保管する施設には建物のほか、工作を施した土地や水面も含まれる、ということです。

倉庫の種類

また、商業用の倉庫には、その管理主体によっていくつかの種類があり、例えば製造業者や卸売業者が自らの物品を保管する「自家用倉庫」や、倉庫業法による登録を受けた者(倉庫業者)が他人から物品を預かり保管する「営業倉庫」などがあります。この「営業倉庫」には預かる物品の種類や管理方法などの違いによって、「普通倉庫」「冷蔵倉庫」「水面倉庫」などいくつかの種類の倉庫が存在します。 [注1][注2]

営業倉庫の種類 概要
普通倉庫 1類倉庫 ハイグレードな倉庫。いろいろな貨物が保管可能だが、冷蔵倉庫や危険品倉庫での保管が義務づけられている物品の保管は不可。
2類倉庫 防火、耐火性能が不要な倉庫。1類倉庫に比べて保管可能な物品が制限されている。
3類倉庫 防火、耐火、防湿性能が不要な倉庫。燃えにくく、湿気にも強い物品が保管される。
野積倉庫 4類物品(※)を保管する屋外の倉庫。
※鉱物、木材、自動車などのうち、雨風にさらされて良いもの
貯蔵槽倉庫 6類物品(※)を保管するサイロと呼ばれるタイプの倉庫。
※袋や容器に入っていない穀物や、糖蜜などの液体物品
危険品倉庫 7類物品(※)を保管する倉庫。
※消防法が指定する危険物や高圧ガス
トランクルーム 家財、美術骨董品など個人の財産を保管する倉庫
冷蔵倉庫 8類物品(※)を保管する倉庫。
※農畜水産物の生鮮品や冷凍品、加工品など摂氏10℃以下で保管することが適切な物品。
水面倉庫 5類物品(※)を保管する水面状の倉庫
※原木等水面において保管することが可能な物品

[注1]倉庫業について|一般社団法人 日本倉庫協会
[注2]倉庫の種類|一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会

倉庫の主な機能

そして、倉庫には単に物を「保管(貯蔵)する」機能に加え、以下のような機能があり、こういった観点からも人々の社会生活を支えていることが分かります。

倉庫や倉庫業の誕生、そして近代的な倉庫について

さて、これまでは倉庫の定義や種類、主な機能といった、倉庫に関する基本的なことを紹介してきましたが、次は倉庫や倉庫業の歴史について紹介したいと思います。

倉庫の誕生

物品の貯蔵という経済活動は原始の時代より行われてきたといわれており、エジプトの古都ルクソールでは3,500年前に建設された倉庫群を現在でも見ることができます。[注3]
一方、日本では弥生時代に農業が始まり、それとともに穀物を貯蔵するための校倉造りの高床式倉庫などの建設が本格化しました。また、4世紀ごろからは天皇を中心とした統一国家が形成され、稲などの税を収納するための「屯倉(みやけ)」が作られたとされています。
[注3]第19号倉庫の歴史と今後必要とされる方向性について|サカタウエアハウス株式会社

倉庫業の誕生

それでは、現在の倉庫業のような形態のビジネスが生まれたのはいつ頃の出来事でしょうか。諸説ありますが、平安時代の末期において港湾地帯などで売買の仲立ちや金融、物品保管を行う「津屋」が収受する「屋賃」が、現在でいうところの「保管料」にあたり、これが倉庫業の起源であるといわれています。「津屋」のビジネスからも分かるように、倉庫は「物流」だけでなく、「商流」や「金流」の結節点として機能してきたことがうかがえます。

倉庫の近代化、高機能な倉庫へ

物流の主要な機能としては「輸送」や「保管」のほか、「流通加工」「包装」「荷役」「情報」などがあり、物流はサプライチェーンの中で重要な役割を果たしています。[注4]
経済のグローバル化や顧客ニーズの多様化に合わせたサプライチェーンの高度化に伴い、物流のよりいっそうの進化が求められるなか、倉庫の高機能化も昨今では進んでいます。
例えば、厳密な温度管理が求められるバイオ医薬品等を取り扱うことのできる定温倉庫や、地震や津波などの自然災害に備え、地盤の強い高台に建設され免震構造を有するBCP対応倉庫などが挙げられます。
[注4]サプライチェーンとは何か具体例を交えて徹底解説|三井倉庫グループ

人々の生活を支え、進化する倉庫

今回は「倉庫」に関する基本的な知識を、その定義や歴史などを通じて紹介しました。一見すると単に「物を保管しておくための施設」としての倉庫も、様々な機能や成り立ちなどが分かると、公共性や社会性の観点からまた違った様相が見えてきます。 そして何よりも、人類の歴史とともに進化してきた「倉庫」は、これからも人々の生活を支え、社会の変化に合わせてさらに進化していくことでしょう。



【参考文献】
加藤書久(2002)『倉庫業のABC』成山堂書店

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