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海外引越の荷造りで注意すべき3つのこと

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家財の仕分け「送る品」「残す品」「廃棄する品」
家財を送る方法やスケジュール
海外への持ち出しが禁止・制限されているもの

留学や仕事で海外へ引っ越しをする際、重要なことの一つが荷造りです。荷造りそのものの大変さもありますが、海外引越ならではの注意点もあり、なかなか思うようにいかないことが多いようです。そこで今回は、海外引越の荷造りにおける、3つの基本的なポイントについて紹介していきたいと思います。

まずは家財を仕分けましょう「送る品」「残す品」「廃棄する品」

海外引越において最も重要な作業は家財の仕分けです。仕分けが不十分な場合、発送したいものが日本に残されたり、逆に不要なものが海外に送られたりしてしまうケースもありますので注意が必要です。

現在住んでいるお家にある家財の中には、現地で使うもの・使わないものなど、様々あるかと思います。現地で使うものの中には、日本でしか手に入らないものなど物理的に現地で調達できないものや、PCやお気に入りの衣類など普段から使っているものなどが挙げられますが、これらは「送る品」に分類されます。一方、現地で使うけれども、日用品といった現地で調達する方が手間やコストの面でメリットがあるものや、そもそも現地で使わないもの、例えば美術品や大型の家電などは「残す品」に分類されます。最後に、これら「送る品」「残す品」に分類されないものは「廃棄する品」に分類するとよいでしょう。

「送る品」については引っ越し業者と相談の上、後述の点(スケジュールや持ち出し制限など)に特に注意が必要ですが、「残す品」や「廃棄する品」の扱いについても引っ越し業者とよく相談し、「残す品」であれば、保管設備の整ったトランクルームや、ご実家などの私的な場所での保管を検討しましょう。「廃棄する品」は、昨今では環境配慮の観点から、廃棄処理するだけでなくリサイクル回収する場合もあるようなので、家財の性質に応じて処分の方法について検討するといいでしょう。

家財を送る際の方法やスケジュール

家財の仕分けで海外に送る品と分類したものは、送る方法やスケジュールについて検討しましょう。
引っ越しで海外に荷物を運ぶとき、「船便」「航空便」「手荷物による持ち出し」の3つの方法があります。少量の荷物であれば、手荷物として海外へ持ち出すことが可能ですが、ある程度まとまった量の荷物がある場合は、船便や航空便を利用することになります。その際に気を付けるべき点は、輸送日数とコストです。

例えば行き先が米国や欧州だった場合、航空便であれば2週間前後、船便だと1〜2ヵ月近くかかるので、余裕をもったスケジューリングが必要です。
一般的に航空便は輸送のリードタイムが短い一方、単位数量当りのコストは高いため、緊急性の高い少量荷物を運ぶのに適しており、船便はその逆で、輸送のリードタイムが長い代わりに、単位数量当りのコストは低いので緊急性のない大量の荷物を運ぶのに適しています。
ただし、航空便で送る際には物品の取り扱いが各国によって異なるため、精密機器や割れ物など破損の恐れがあるものは、船便や手荷物として持っていくことが推奨されています。

このように、家財を海外へ送る場合には、その方法によって輸送にかかる日数やコストが異なるので、荷物の量や質に応じて最適な組み合わせを選ぶ必要があります。

また、輸送のモードだけではなく、輸送先の輸入通関のプロセスもスケジュールに影響を及ぼしてきますが、輸入通関のプロセスは各国によって異なるので、引っ越し先の国に応じて業者に相談してみるといいでしょう。

海外への持ち出しが禁止・制限されているもの

海外へ送りたい家財があった場合でも、その家財を海外へ持ち出すことが禁止、または制限されている場合があります。

関税法やその他法令によって禁止・制限されているもの

日本から海外へ家財を持ち出す際、その家財は通関を通す必要がありますが、関税法で輸出が禁止されているものは海外へ送ることができません。[注1]

【輸出が禁止されているもの】

また、関税関係法令以外の法令により、特別な許可や承認が必要な場合があるので、注意が必要です。[注2]

【他法令一覧】

危険性の観点から禁止・制限されているもの

次に、輸送品の危険性の観点から見ていきます。
海外へ家財を送る場合、船か飛行機を使用して輸送することになりますが、輸送中に爆発や火災の恐れがあるものは「危険物」と位置付けられます。 そういった危険物を海外へ持ち出す際、危険物輸送のルールに則った対応が必要になり、ものによっては持ち出しが禁止されるものもあります。 持ち出すものの種類だけでなく、数量や濃度、体積など細かい基準がありますので、以下を参考に危険物かも?と思われる物品を海外へ持ち出す際は、引っ越し業者に相談するといいでしょう。[注3][注4]

【主な危険物の分類】

また、家財を送る先からみたときに、輸入が禁止されている物品もあります。これは、日本から持ち出しが禁止されている物品とはまた別の制限になりますが、輸入通関のプロセスと同様、各国によって禁止されているものは異なりますので、引っ越し先の国に応じて業者に相談するといいでしょう。
[注1]輸出入禁止・規制品目|税関 Japan Customs
[注2]税関で確認する輸出関係他法令の概要(カスタムスアンサー)|税関 Japan Customs
[注3]海事:危険物とは|国土交通省
[注4]航空:機内持込・お預け手荷物における危険物について|国土交通省

事前の準備をしっかり整え、快適な海外生活を

海外引越の準備を進める際の3つのポイントとして、「家財の仕分け方」「輸送の方法・スケジュール」「持ち出す物品に関する規制」について紹介してきました。
これらの他にもいろいろ注意点はありますので、一人で全てをやってしまうのではなく、業者と相談するのも重要な手段です。引っ越し業者によっては、仕分けさえやってしまえば、箱詰めや梱包は業者が代行してくれるサービスなどもあるようです。荷造りを完璧にして素敵な新生活のスタートを切りましょう。

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