ASEAN(東南アジア諸国連合)の
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ASEAN(東南アジア諸国連合)の基礎知識
ASEAN諸国の物流における課題
ASEANの物流課題への取り組み

全体を一つの国として考えた場合「世界で7番目の経済大国」とも呼ばれるASEAN10カ国。域内での経済統合に伴って、物流改革が進んでいます。しかし、地域によっては輸送や通信インフラが未整備といった課題があることも事実です。今回は、ASEANの基礎知識、東南アジアの経済や物流課題への取り組みについてご紹介します。

ASEAN(東南アジア諸国連合)の基礎知識

ASEANは、1967年に「バンコク宣言」によって設立が決定しました。設立当初の原加盟国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国です。その後1999年までにブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジアが加入し、現在は10カ国にまで増加しました。さらに2020年までに東南アジア全域がASEAN経済共同体となることを目標としています。これらの国々がASEANに加盟することで目指しているのは、生活水準の引き上げ、雇用創出、貧困削減、公正な経済成長の確保など。外相会議や経済閣僚会議を毎年開催し、国同士の政治・経済・文化面での交流を活発化させ、地域全体として発展していくことがASEANの目的です。

ASEANが注目される理由の1つがその経済規模です。ASEAN全体を1つの国と考えると、世界7番目の経済規模であり、GDPは約2兆7000億USドル(2017年時点)となります。さらに、6億4,000万人という欧州や北米を凌ぐ人口を有し、労働市場が拡大していることも見逃せません。GDPは2013年から10年間で年間5%の成長が予想されており、同じく2023年までに中間層の所得も毎年平均で10.9%増加すると見られています。欧米や日本のような先進国から見れば、驚くほどの成長地域であるといえるでしょう。

ASEAN諸国の物流における課題

ASEAN加盟国は経済協力の点では一致していますが、歴史的背景が異なる上に経済規模や所得水準の面では大きな差がみられるなど、非常に多様性があります。物流面から見てみると、比較的に経済規模の小さいミャンマーやカンボジア、ラオスにおいては、道路や鉄道、さらに海上や航空といった輸送インフラがまだまだ整っていないことが課題の一つです。

また、インドネシアやマレーシアではインターネット回線の利用者が増えインフラ投資が行われてきていますが、郊外ではまだまだ未整備なところも多く、貨物のトラッキングができないといった課題もあります。

インフラに加え、制度面での対応にも注意を払わなくてはなりません。域内の国々では役所の対応にも格差があり、過度に官僚主義的な手続きで大量の書類を準備する必要があったり、輸入品に高額の関税がかかったりすることもあるようです。

ASEANの物流課題への取り組み

ASEANの主要国であるタイは、「経済・物流回廊」といわれる域内の主要な輸送ルートがすべて国内を通過しています。このことからタイは物流の要所となり、東西南北で接する他国へのアクセスの良さもあって全国的に物流が拡大。その結果、物流の形態も水路から、より効率的な陸路へシフトするといった動きも起きています。1つの例としては、2015年4月に開通したネアックルン橋(つばさ橋)が挙げられます。これは日本のODAとしても知られるものですが、メコン河に橋を建設することで、タイ~ベトナム間の輸送の中心が陸路に変化し、バンコク~プノンペン~ホーチミン間の輸送時間は、最大で1~2時間ほど短縮されました。

それだけでなく、物流のボトルネック解消のために、通関窓口の一括化という取り組みも行われています。これは「ASEAN Single Window(ASEAN シングルウィンドウ)計画」と呼ばれ、ASEANに加盟する各国が置く通関手続きのための窓口を一本化するというもので、通関業務の時間短縮と透明性向上を目指しています。

ほかにも、2017年6月11日には、メコン河流域の経済発展を進める「大メコン河流域物流業界協力委員会第5回会議」が開催され、中国、タイ、ラオス、ミャンマーの4か国の物流企業が参加。メコン川流域の物流を改善・発展させるための物流プラットフォームの構築について、「インターネット×物流」の重要性が議論されました。ASEAN加盟国ではない中国が参加していることも、この地域への注目度がわかります。

一方、日本企業による取り組みの例もあります。1つがJR東日本によるインドネシアやミャンマーでの鉄道車両提供です。同社は国際事業展開において、自社の持つ技術やノウハウを国外でも展開することで人材を育成、国内にも還元していくことを掲げています。その一環として、国内で使用されてきた鉄道車両を譲渡するだけでなく、安定的な運行を実施できるように技術支援も実施しています。提供を受ける国では、鉄道の整備によって交通渋滞の改善やさらなる輸送力強化が期待されています。

課題を解決しさらなる発展が期待されるASEAN

ASEAN10カ国は、大きな経済成長のポテンシャルを持つ注目地域ですが、物流インフラの整備が遅れている地域もあり、様々な課題があることも事実です。ただし、インフラ整備など課題解決に向けた取り組みは進んでおり、今後のさらなる発展が期待されています。

【参考】

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