2018年現在、世界第4位の人口を誇るインドネシアは、その人口の多さや最低賃金の上昇に支えられた旺盛な個人消費を背景に、堅調な経済成長を続けています。そしてその経済成長にともない、輸出額と輸入額を合わせた総貿易額は2018年時点で約3,700億ドルにのぼり、この10年間で約2倍弱の成長を遂げています。また、総貿易額の中で対日比率は約10%を占め、インドネシアにとって日本は重要な貿易相手国の一つと言えるでしょう。
そこで今回は輸出入手続きの流れや、輸出入に制限が設けられている品目についての情報など、インドネシアとの貿易の際に必要な基礎知識を解説していきます。
インドネシアの通関手続きの流れをチェック
まずはインドネシアから輸出入をする際の通関手続きの流れを確認しましょう。輸出入通関の大まかな流れはそれぞれ以下の通りです。[注1]
【輸出通関の流れ】
- 輸出関税の納付
- 輸出申告
- 書類審査
- 現物検査
- 船積み
【輸入通関の流れ】
- 輸入関税の納付
- 輸入申告
- 書類審査
- 現物検査
- 搬出許可
特に注意が必要なのが、輸入通関にかかるリードタイムです。
インドネシアの輸入通関においては、輸入する物品と輸入者のリスクなどの観点から、輸入申告する貨物を原則以下の3つのレーンに分類していますが、レーン毎に輸入許可が下りるまでのリードタイムが異なります。
レッドレーン | 上記1~5のすべての手続きが必要 |
---|---|
イエローレーン | 上記1~5のうち、書類検査官の判断により4が省略されることがある |
グリーンレーン | 上記1~5のうち、4が省略される |
以上3つのレーンのほか、優良事業者は書類審査や現物検査が必要ない「通関優先パートナー(MITA)レーン」を利用できますが、MITAの認定を受けるには一定の基準をクリアする必要があります。
インドネシアからの輸出が規制されている品目をチェック
海外との貿易においては、国際条約や各国の法令等によって輸出や輸入をしてはいけないものや、数量を制限されているものなどがあります。
そこでまずは、インドネシアにおいて輸出が規制されている品目について見ていきましょう。
輸出規制品目は、取引そのものが禁止される「輸出禁止品目」、取引できる数量が制限される「数量規制品目」、登録業者のみ輸出できる「業者登録制度品目」の3つに分類されます。1998年に工業省が輸出規制品目を定めて以降、品目ごとに絶えず改正されているため、最新の情報を入手するようにしましょう。[注2]
【代表的な輸出禁止品目】
- SIR(インドネシア標準ゴム)規格外のゴム
- 産業廃棄物
- 保護種の動物
- 文化財
- ロタン原木
- 鉄道・路面電車の枕木
- 厚さ6ミリ超のスライス木材
【代表的な数量規制品目】
- 生きた動物や魚
- パーム核
- 鉱物
- 工業製品
- ロタン製品
- 尿素肥料
【代表的な業者登録制度品目】
- 農園作物
- 林産物製品
- 工業製品
- 鉱物
- コーヒー
インドネシアで輸入が規制されている品目をチェック
次に、輸入が規制されている品目を紹介します。輸入規制品目は、輸入そのものを禁じる「輸入禁止品目」、輸入できる総量や輸入港が規制される「輸入制限品目」の2つに分類されます。インドネシア国民の9割弱がイスラム教であり、輸入規制品目のなかには宗教上の理由で禁止されているものも含まれます。
1997年に商業省・工業省により197品目が禁止・規制されて以来、輸入規制品目はアップデートが繰り返されているため、輸出規制品目同様、最新の情報を入手するようにしましょう。[注3]
【代表的な輸入禁止品目】
- 危険・有毒原料廃棄物
- オゾン層破壊原料
- エビ
- モッツァレラチーズ
- 特定の魚
- 中古車
- フロンを使用した空調設備、冷蔵・冷凍庫
- 古着
- 医薬・食品の原料
【代表的な輸入制限品目】
- にんにく、小麦、小麦粉、大豆など8品目
- 乳製品、丁子、穀類粉など計19品目
- コメ
- 牛肉
- 砂糖
- 塩
- アルコール
- 鉄鋼・鉄鋼製品
- 繊維・繊維製品
- 石油ガス
- 中古資本財
- 作物製品
通関手続きや輸出入が規制されている品目をチェックしてスムーズな貿易を
今回はインドネシアの通関手続きや、輸出入が規制されている品目について紹介しました。手続きの方法や規制品目は、関係法令等の改定でアップデートが繰り返されていますので、輸出入の際には物流業者などの専門業者に相談をしてみましょう。