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サプライチェーンとは何か
具体例を交えて徹底解説

  • サプライチェーンソリューション
サプライチェーンは調達、製造、販売、消費などの一連の流れ
供給最適化を図るサプライチェーン・マネジメント
サプライチェーン・マネジメントとロジスティクスと物流

「サプライチェーン」は経営用語の1つで、最近よく見かけるキーワードのひとつですが、その定義や重要性は実際のところよくわからない、という声もあります。そこで今回は、サプライチェーンの定義を具体例とともに解説いたします。

サプライチェーンは調達、製造、販売、消費などの一連の流れ

私たちが普段目にする商品や製品の多くは、さまざまな原材料や部品などを組み合わせて製造され、小売店等での販売を通じて消費者の手元に届きます。また、それらが農産物や海産物といった一次産品であったとしても、生産者から消費者へ届くまでの間には、いくつかの商流や物流があることが一般的です。

このような、商品や製品が消費者の手元に届くまでの、調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費といった一連の流れのことをサプライチェーンといいます。この一連の流れの中で繰り返される、受発注や入出荷といった取引のサイクルがチェーン(鎖)に見立てられるため、サプライチェーンと呼ばれています。

サプライチェーンの具体例

身近な具体例として、コンビニエンスストアのおにぎりのサプライチェーンをあげてみましょう。
コンビニエンスストアの代表的な商品であるおにぎりは、どのようにして私たちの手元へ届けられているのでしょうか?

まず、主な原材料であるお米は農場で生産されます。
現在、日本国内で生産されているお米の生産量は約800万トン弱、そしてこのうちの7割程度が市中に流通されていますが、このお米がおにぎりとなり、コンビニエンスストアの店頭に並ぶまでには、生産者、農協などの集荷販売業者、中食事業者、小売店(コンビニエンスストア)といった様々なプレーヤーが登場します。そして、こういったプレーヤー間の取引がつながっていくことで、私たちの手元におにぎりが届けられます。[注1]

例えば、中食事業者は生産者や農協などから仕入れたお米を加工し、おにぎりを製造します。この時、製造されるおにぎりは、コンビニエンスストアのオーダー(需要)に応じて製造・出荷され、コンビニエンスストアの店舗に並びます。

このように、おにぎりが私たちの手元に届けられるまでには、サプライチェーンを構成する様々なプレーヤーの活動があり、それが連なって成り立っていると言えるでしょう。
[注1]米をめぐる関係資料|農林水産省

企業間・内が連携して供給最適化を図るサプライチェーン・マネジメント

おにぎりのサプライチェーンをご覧いただいた通り、サプライチェーンは多くのプレーヤーによって構成されています。
消費者に製品や商品を適切に届けるためには、企業間での取引はもちろんのこと、企業内(たとえば、生産部門と販売部門の間)でのやり取りも最適化させる必要があります。
このように、サプライチェーン全体を通じて供給を最適化させる取り組みを「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」といいます。

ある製造業のサプライチェーンでは、見込み生産できるもの、受注してから生産するものといったそれぞれの生産モデルを作成することで、プロセスを定義化して全社で共有しました。その結果、業務パターンの簡略化が進み、無駄が大幅に削減されました。

このようにサプライチェーン全体を通じて最適な意思決定が行われれば、供給スピードや在庫管理が適切になり、キャッシュフローや収益の向上が期待できると注目を集めています。

サプライチェーン・マネジメント(SCM)とロジスティクスと物流

サプライチェーン・マネジメントに似ている言葉として「ロジスティクス」が挙げられます。
サプライチェーン・マネジメントにもロジスティクスにもいろいろな定義がありますが、ロジスティクスはサプライチェーン・マネジメントの一部であると考えられています。[注2]

先ほど、サプライチェーンには社内外に多くのプレーヤーが存在すると紹介しましたが、サプライチェーン・マネジメントがサプライチェーン全体を通しての最適化である一方、ロジスティクスはプレーヤー間の最適化を指すことが多いようです。

また、サプライチェーンに登場するプレーヤー間の物的な取引を支える役割として「物流」があります。
物流には「輸送」「保管」「流通加工」「包装」「荷役」「情報」といった以下6つの主要機能があり、サプライチェーンの中で重要な役割を果たしています。
[注2]物流・ロジスティクス・SCM概念について|日本物流学会(Japan Logistics Society)

物流の6つの主要機能 説明
輸送 長距離2地点間の移動のこと。
船舶・鉄道・航空機・貨物自動車などの輸送機関を利用する。
※短距離の輸送は集荷・配送とされているケースも多く、貨物自動車や台車・自転車などが使用されている。
保管 商品・物資の時間的移動のことで、主に短期間で流通型保管。
※長期間の保管は備蓄
流通加工 商品・物資を輸送または保管するために生じる細かい作業や、商品の付加価値を高める作業のこと。
包装 商品・物資の状態を維持する「工業包装」や包装紙で包むなど付加価値を高くする「商業包装」のこと。
荷役 商品・物資の積み込み、荷降ろし、検品、仕分けなど。
情報 物流をコントロールして、効率化させる。
数量・品質・位置管理情報の3つに分類される。

私たちの暮らしを支えるサプライチェーン

今回はサプライチェーンの定義について具体例などを交えて紹介してきました。その中で、コンビニエンスストアのおにぎりのサプライチェーンを例に挙げましたが、この他にも様々な種類のサプライチェーンがあり、それは業界や製品、さらには時代や技術水準によっても異なります。

これまでの大量生産・消費型の経済からシェアリングエコノミー等に代表される新しい社会の在り方が提案される中、消費者の購買行動の変化を背景にサプライチェーンにおいても柔軟な変化が求められています。

このように、サプライチェーンは私たちの暮らしを支える重要な概念であり、サプライチェーンの進化は私たちの暮らしをより豊かにするものといえるでしょう。

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