サプライチェーン全体を巻き込んだ
物流改革成功へのヒント

  • サプライチェーンソリューション
トラック輸送網を合理化する「輸配送網の集約」
トラックの積載効率を向上させる「輸配送の共同化」
トラック輸送から鉄道・船舶輸送等に切り替える「モーダルシフト」

調達・製造・販売といった企業活動におけるグローバル化や消費行動の高度化・多様化にともない、物流の重要性がいっそう高まるなか、物流業界の労働力不足が顕在化しつつあります。

国土交通省によると、トラックドライバーが不足していると感じている企業の割合は、2011年には18%でしたが、2017年には63%と大きく跳ね上がっています。[注1]

そうした経済環境のもと、サプライチェーン全体を巻き込んだ物流改革の必要性について議論された結果、国土交通省は2016年に物流総合効率化法を改正し、物流業界における労働力不足への対応や環境負荷低減を目的として、物流業務の総合化・省力化を推進しています。

同法の認定事業に指定された場合、税制面や金融面における支援を受けることができますが、支援対象とする業務例として「輸配送網の集約」「輸配送の共同化」「モーダルシフト」が挙げられています。[注2]
以下では、これら物流業務の総合化・省力化策を物流改革成功へのヒントとして、定義やポイントなどを紹介していきます。
[注1]総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)について|国土交通省
[注2]物流:物流総合効率化法について|国土交通省

トラック輸送網を合理化する「輸配送網の集約」

輸配送網の集約とは、「輻輳しているトラック輸送網を合理化する取組み」です。[注3]
トラックの走行量を削減する狙いもありますが、点在する流通業務施設の機能を特定流通業務施設へ集約する取り組みにおいては、トラックの手待ち時間を削減することにもなるので、環境負荷低減の効果も期待できます。

次に紹介する「輸配送の共同化」と合わせて取り組まれることも多く、複数の発荷主と着荷主間の輸送を効率化するために、新しく法人を設立したケースもあります。[注4]
[注3]流通業務総合効率化事業の実施に関する基本的な方針|国土交通省
[注4]中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ 議事次第|首相官邸

トラックの積載効率を向上させる「輸配送の共同化」

輸配送の共同化とは、「貨物の混載等により、トラックの積載効率を向上させる取組み」です。[注5]
幹線輸送や地域内配送を共同化し、積載効率が改善することでトラックの走行量を削減する狙いがあります。
配送拠点施設やトラック等インフラの共同利用や、同業他社との連携により実現するケースが多いようです。

また、幹線輸送の共同化においては、次に紹介する「モーダルシフト」との親和性も高く、各荷主がそれぞれトラックで幹線輸送していた貨物を集約したのち、大量輸送機関である貨物鉄道や内航海運で輸送するケースもあります。

さらに、地域内配送の共同化では、輸送需要が多い都市部だけでなく、過疎地域での配送の共同化も物流ネットワーク維持の観点から重要性が増しています。
[注5]流通業務総合効率化事業の実施に関する基本的な方針|国土交通省

トラック輸送から鉄道・船舶輸送等に切り替える「モーダルシフト」

モーダルシフトとは、「トラックで輸送していた貨物について、鉄道や船舶等を活用して輸送する取組み」です。[注6]

これまで紹介してきた「輸配送網の集約」や「輸配送の共同化」と同様、トラックの走行量削減に期待できますが、特にモーダルシフトは環境負荷低減効果が大きい取り組みといわれています。
輸送量1トンキロ(※)あたりの二酸化炭素の排出量はトラックが約240gであるのに対し、鉄道は約21g、船舶は約39gしかありません。[注7]
※輸送した貨物の重量(トン)にそれぞれの貨物の輸送距離(キロ)を乗じたもの

そのため、モーダルシフトの推進は環境省策定の地球温暖化対策計画にも盛り込まれています。[注8]
[注6]流通業務総合効率化事業の実施に関する基本的な方針|国土交通省
[注7]物流:モーダルシフトとは|国土交通省
[注8]地球温暖化対策計画の概要|環境省

サプライチェーン全体を巻き込んだ物流改革を

物流改革のヒントとして「輸配送網の集約」「輸配送の共同化」「モーダルシフト」を挙げてきました。物流総合効率化法が「二以上の者が連携した事業」を認定事業の要件としているように、これらをすべて自社で行うことはなかなかハードルが高いかもしれません。しかしながら、物流業界における労働力不足は喫緊の課題となっています。そのため、これら取り組みはサプライチェーン全体の関係者が一体となって進めていく必要があるでしょう。

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