三井倉庫グループ

オムニチャネル時代の物流戦略を
成功に導く3つのポイント

  • サプライチェーンソリューション
在庫情報の一元管理
オムニチャネルに対応した実物流ネットワークの構築
サード・パーティ・ロジスティクス(3PL)の活用

小売業のオムニチャネル化への取り組みは、スマートフォンの普及をはじめとした情報技術基盤の発達や、それに伴う顧客の思考や行動の多様化・高度化に対応するため展開されてきました。

経済産業省が取りまとめている調査によると、「オムニチャネルとは、消費者がこれらの複数のチャネルを縦横どのように経由してもスムーズに情報を入手でき購買へと至ることができるための、小売事業者によるチャネル横断型の戦略やその概念、および実現のための仕組みを指す」とされています。 [注1]


オムニチャネルの概念図

引用:「平成28年度 電子商取引に関する市場調査」| 経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2017/04/20170424001/20170424001-2.pdfを元に作成


このように、オムニチャネル化は消費者のショッピング体験を最適化し、満足度を最大化するためのマーケティング戦略であるといえます。

先ほどの概念図からわかる通り、オムニチャネル化を成功させるためには様々な顧客接点について検討しなくてはなりませんが、今回は企業のオムニチャネル化を支える基本的な物流戦略について解説します。
[注1]平成28年度 電子商取引に関する市場調査|経済産業省

オムニチャネル時代において取り組むべき3つの物流戦略

オムニチャネル時代において、物流は顧客体験の一部としてより大きな役割を果たすようになりつつあります。「安定的な購入機会の提供」や「配送リードタイムの短縮」といった顧客の購買体験向上を目的に検討することが重要です。
そこでキーポイントとなるのが、以下の3つの戦略です。

在庫情報を一元管理する

オムニチャネルを支える物流戦略として最初に挙げるのは、在庫情報管理の一元化です。実店舗、ECサイト、その他通販などの在庫情報を同一のデータベースを用いて一元管理していく必要があります。

近年では、ECサイトでの購入が増えているため、実店舗のショールーム化が進んでいます。以前の物流戦略ではいかに店舗で欠品を出さないようにするかが重視されていましたが、現在では、欲しい商品がある場合はネットで購入する顧客が増えています。

しかし、例えば、ネットに在庫がなかった場合、ネットでの購入を検討していた顧客が、近隣の実店舗に在庫があると知ることができれば、来店を促すことが可能となります。

また、ECサイトで商品情報を確認しつつ、購入は実物を見て店舗で、という顧客もいるでしょう。株式会社オプトが実施した調査によれば、「事前在庫確認」「事前品揃え確認」は70%が「利用したい」と回答しています。[注2]

このように、在庫情報をしっかりと一元管理できていれば、顧客の購買意欲を維持しつつ、購買行動へとシームレスに繋げていくことができます。
[注2]オプト、「オムニチャネル」化する生活者の消費行動 調査を実施|株式会社オプト

オムニチャネル化に対応した実物流ネットワークを構築する

オムニチャネル時代の物流戦略においては、実店舗が在庫切れの場合でも他店舗や流通センターから速やかな在庫移動を可能とする仕組みや顧客に直接宅配できる体制を整える必要があります。そのため、複数拠点間をより効率的に繋いで商品の移動を実現できる物流拠点の整備が重要です。

三井住友トラスト基礎研究所が行った調査によれば、EC時代に求められる物流拠点として次のポイントが指摘されています。

“ネット通販市場の拡大などに伴うジャストインタイムの要請から、交通利便性(高速道路 IC・主要幹線道路へのアクセス)や消費地・生産拠点へのアクセスに優れた立地”

“多頻度輸送への対応(トラックバースの多さ)”

引用:三井住友トラスト基礎研究所「これからの物流不動産に求められる機能・役割
~『物流不動産の活用戦略に関するアンケート調査』に基づく考察~」
https://www.smtri.jp/report_column/report/pdf/report_20170421.pdf


このような点について検討し、オムニチャネル時代に合わせた物流拠点の整備を行うことで、より効率的な運営が実現するでしょう。

専門企業のノウハウを利用しつつコストダウンを図れるサード・パーティ・ロジスティクス(3PL)を利用する

以上に見てきたような「在庫情報の一元管理」や「最適な実物流ネットワークの構築」を効率的に行うためにも、3PLサービスの活用がカギとなります。
3PLとは、荷主の担っている物流関連業務全般を、単なる運送事業者ではない物流の専門業者(第三者)に委ねることをいいます。自社の資源のみで情報管理システムの構築や複数の拠点整備を行うには多額の整備費用と時間が掛かるため、現実的な選択肢ではないという企業も多いのではないでしょうか。

オムニチャネル化への取り組みは、顧客満足度の最大化を目的にサプライチェーンの複雑化が伴うため、従来よりもコストが増大する傾向があります。従って、健全な経営のためには、複数の拠点における在庫のやり取りに係るコスト、あるいは顧客へ直接宅配するコストを削減し、在庫管理に係る業務も併せて効率化していく必要も出てきます。

また、近年、物流業界においては、深刻な人手不足とECの隆盛による荷物の増加などから、倉庫内での商品管理の自動化や宅配時の「置き配」といった新しい流れが生まれています。

これらの改革を進めていくためには、当然のことながら新しいノウハウが必要となりますし、それらを獲得するために相応のコストも掛かってきますが、3PLを利用することで、コストの削減を行いつつ、物流専門企業が培ってきたノウハウを利用できる可能性があります。

時代の流れに取り残されないためにも、3PLサービスを活用した物流戦略の構築は重要性を増しているといえます。

オムニチャネル時代における最適な物流を構築していきましょう

今回は、オムニチャネル時代における物流戦略について見てきました。オムニチャネル化する社会にあっては、顧客にとって最適なタイミング・場所・時間に商品を選択、購入、そして受け取りができることの価値が増大します。このような理想の顧客体験を提供するためにも、「在庫情報の一元管理」や「最適な実物流ネットワークの構築」を「3PL」の利用などで整えていくことが重要です。

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