GLECフレームワークとは?
物流GHG排出量の算定・報告に関する国際ガイドラインについて解説
- 温室効果ガス
- 算定・報告
- GLECフレームワーク
2024年3月11日
物流はサプライチェーンをつなぐ役割として世界経済を支える重要な役割を果たしていますが、同時に環境への影響も大きくなっています。 2018年時点で全世界の温室効果ガス(GHG)排出量のうち、旅客も含む輸送活動から排出されるGHGは約25%*1を占め、 2050年における貨物輸送需要が2015年の約2.6倍*2になることなど、世界の輸送活動量は今後ますますの増加が見込まれます。
このような状況下でカーボンニュートラルに向けた輸送効率化が求められる一方、現状や削減効果を正確に把握するためには、 物流GHG排出量の算定・報告におけるルールが必要となります。本記事では、国際的な業界ガイドラインである「GLECフレームワーク」に焦点を当て、 その定義や活用ポイントについて解説を行います。
GLECフレームワークにおけるGHG算定・報告の基本的な原則
GLECフレームワークはGHGの算定・報告にあたり以下の基本的な原則に則っています。
輸送チェーン全体の業務をカバー
GLECフレームワークはトラックや船舶、航空機による貨物輸送だけでなく、港や倉庫における移動、保管、包装等のハブ業務におけるGHG排出量もカバーしています。
IPCCが定める温室効果ガスと気候汚染物質の包含
GLECフレームワークは国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が定めた温室効果ガスおよび気候汚染物質をカバーしています(2023年春時点)。 これは同時にISO14083、GHGプロトコル、SBTiなどにも適合しています。GHGに含まれるものは以下の通りです。
- CO2:二酸化炭素
- N2O:一酸化二窒素
- CH4:メタン
- SF6:六フッ化硫黄
- HFCs:ハイドロフルオロカーボン類
- CFCs:クロロフルオロカーボン類
- PFCs:パーフルオロカーボン類
- NF3:三フッ化窒素
- SO2F2:フッ化スルフリル
あらゆる形態の燃料・エネルギー源からの排出を網羅
GLECフレームワークは貨物輸送やハブ業務から出るGHGとして、燃料・エネルギーの全ライフサイクルを考慮したWTW(Well-to-Wheel)で算定・報告されます。
主要な国際基準および基本手法との整合
GLECフレームワークは物流に関する様々な国際的ガイドラインを基に構築されおり、それらのガイドラインと整合しています。整合している主要な国際標準や方法論は以下の通りです。
GLECフレームワークを活用するメリット
GHG排出量の算定・報告においてGLECフレームワークを活用することで、企業は以下のようなメリットを享受することができます。
- 物流GHG排出量の算定・報告についてシンプルで実践的なアプローチを提供するため、これから算定・報告を始める企業を含め、様々な状況の企業にとって活用の機会がある。
- ハブ業務を含む輸送チェーン全体の業務をカバーしているため、統一されたルールでサプライチェーンにおける輸送のパフォーマンスを管理することができる。
- 様々な主要国際基準に整合しているため、GHG排出量の算定結果をCDPやSBT等国際的イニシアチブに対する報告に活用することができる。
物流GHG排出量の算定・報告のためのグローバルな手法
物流活動は世界経済の重要な要素ですが、環境に対するその影響を最小限に抑えるためには効率化へ向けた具体的な取り組みが求められます。 GLECフレームワークは、この課題に取り組むための貴重なツールであり、持続可能な未来のために重要な役割を果たします。
三井倉庫グループでは、企業のサプライチェーンサステナビリティに関する課題を解決する物流サービスSustainaLink(サステナリンク)を展開しております。 SustainaLinkではGLECフレームワークの他、物流GHG排出量の算定・報告に関する国際規格ISO14083に従ったGHG排出量算定サービスを提供しております。
物流GHG排出量の可視化をご検討の際は、ぜひお問合せください。