GHGプロトコルとは?
温室効果ガス排出の世界的な潮流からみる企業が対応すべきポイント
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公開日:2024年3月11日 更新日:2026年1月16日
企業が環境への取り組みを行う際、まず押さえておきたい基準が「GHGプロトコル」です。本記事では、GHGプロトコルとは何か、算定・報告の原則、 GHGプロトコルを採用するメリットなどについて、解説いたします。
GHGプロトコルとは?
GHGプロトコルとは、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出量を算定および報告する際の、国際的なガイドラインです。
1998年に、持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)と世界資源研究所(WRI)が召集した企業、民間非営利団体、政府、研究者らによって、
「GHGプロトコルイニシアチブ」が創設されました。このGHGプロトコルイニシアチブによって、2000年11月に発表されたガイドライン素案を世界各国の企業が実際に使用し、 フィードバックを得た上で改善の後、2001年10月に「GHGプロトコル」が発表されました。
GHGプロトコルはScope1・2を対象とした「コーポレート基準」や、サプライチェーン全体(Scope3)を対象とした「Scope3基準(Corporate Value Chain Standard)」など、複数の基準とそれらを補完するガイダンスによって構成されています。
GHGプロトコルが重視する「サプライチェーン排出量」とは
GHGプロトコルでは、サプライチェーン全体で発生するGHGの排出量「サプライチェーン排出量」が重視されています。 自社の排出するGHGだけでなく、原料調達・製造・物流・販売・廃棄等の一連の流れを通したサプライチェーン全体での排出量を算定し、 報告するためのガイドラインが示されています。
GHGプロトコルにおける3つの「Scope」とは
サプライチェーン排出量は、Scope1(直接排出量)、Scope2(間接排出量)、Scope3(その他の排出量)から構成されています。
Scope1(直接排出量)
燃料の燃焼や製品の製造などにおいて、事業者が直接排出したGHGの排出量。
Scope2(間接排出量)
他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う、間接的なGHGの排出量。
Scope3(その他の排出量)
Scope1、Scope2以外の間接的なGHGの排出量。
自社従業員の通勤や出張、サプライチェーンに関わる他社の排出量などが、Scope3に該当します。
Scope3は、15のカテゴリに細かく分類されており、物流はその中の「カテゴリ4:輸送、配送(上流)」、「カテゴリ9:輸送、配送(下流)」に該当します。
出典:「排出量算定について」(環境省)https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html
サプライチェーン排出量の算定方法と4つのステップ
GHGプロトコルに基づき排出量を算定する場合、基本的には以下の計算式を用います。
排出量 = 活動量 × 排出原単位
・活動量:
電力の使用量(kWh)、貨物の輸送量(t-km)、取引金額(円)など、
排出活動の規模を表す数値。
・排出原単位:
活動量あたりの CO2 排出量(例:1kWh あたりの CO2 排出量)。
環境省によると、この計算を行うために以下の4つのプロセス(ステップ)を定めています。
ステップ1:算定目標の設定
まず、何のために算定するのか(SBT 認定の取得、ホットスポットの特定など)
という「目的」を明確にします。
ステップ2:算定対象範囲の確認
自社グループ(連結範囲)など、どこまでを「自社(Scope 1, 2)」とみなすかという
組織のバウンダリを決定します。
ステップ3:各カテゴリへの分類
サプライチェーン上の活動を洗い出し、Scope 3 の「15 のカテゴリ」のどこに該当するかを
漏れなく分類します。
ステップ4:各カテゴリの算定
分類したカテゴリごとに「算定方針の決定」「データの収集」「排出量の計算」を行い、
最終的な数値を算出します。
GHGプロトコルにおける排出量算定・報告の原則
報告される排出量については、作成時に入手可能な最も適切なデータを利用すべきであり、 また、「妥当・完全・一貫・透明・正確」の原則に沿っていなければなりません。それぞれの原則について、説明します。
妥当性
GHG排出量の算定において、対象となる組織や活動の境界を、適切に定義すること。
完全性
定められた境界の範囲内において、あらゆる排出源と活動が反映され、全ての排出量が報告されること。
一貫性
GHG排出量について、継続的に、有意な比較ができるようにすること。報告の条件などを変更する際には、明記します。
透明性
明確な監査結果に基づき、客観的かつ首尾一貫した方法で、関連するすべての問題について言及すること。計算手法や参照資料なども、公開します。
正確性
可能な限り正確な算出を行い、報告すること。不確実性を最小化するよう努め、情報利用者が報告内容に基づいた意思決定を行えるよう合理的に正確性を保証します。
GHGプロトコルが重要視される理由
SDGsに関する取り組みやESG投資が活発になり、企業の気候変動への対応がますます求められています。 企業が気候変動対策に取り組む際には、以下の観点からGHGプロトコルに従ったGHG排出量の算定・報告を行うことが重要です。
GHG管理の一貫性が確保可能
GHGプロトコルの原則「妥当・完全・一貫・透明・正確」に従って算定・報告することで、
企業間や異時点間の比較に加え、国境を越えたグローバルなGHG管理の一貫性を確保することができます。
ESGに関する国際イニシアチブが推奨
近年、グローバル企業の気候変動対策における情報開示・評価の国際的イニシアチブ(CDP、RE100、SBT等)の影響力が増しており、
これらイニシアチブはGHG排出量の算定・報告の基準としてGHGプロトコルを推奨しています。
GHGプロトコルを採用するメリット
GHGプロトコルを用いてGHGを算出・報告することで、企業は以下のようなさまざまなメリットを得られます。
国際的な環境イニシアチブに対する目標設定に活用できる
GHGプロトコルで算定した値は、
国際的な環境イニシアチブに求められる目標設定や情報開示などのデータとして活用できます。
機関投資家等へのアピールになる
国際的な環境イニシアチブがGHGプロトコルに従ったGHG排出量の算定・報告を推奨していることを受け、
GHGプロトコルに従った開示をすることはESG投資を行う機関投資家や環境格付機関へのアピールにつながります。
GHGの削減対象を特定できる
GHGプロトコルに従ったGHGの算定・報告は、企業のサプライチェーン排出量の全体像の把握を通じて、
サプライチェーン上で優先的に削減すべき対象を特定することができます。
物流におけるGHG排出量を可視化するなら、
三井倉庫グループのSustainaLink
GHG排出量を算定・報告する際、国際的なガイドラインであるGHGプロトコルを採用することは企業の社会的信頼性の向上と機関投資家へのアピールにつながります。
GHGプロトコルでは、サプライチェーン全体で発生するGHG排出量「サプライチェーン排出量」を重視。 サプライチェーン排出量のうち、物流から出るGHGは、Scope3の「カテゴリ4」および「カテゴリ9」に該当します。
三井倉庫グループでは、企業のサプライチェーンサステナビリティに関する課題を解決する物流サービスSustainaLink(サステナリンク)を展開しております。 SustainaLinkではGHGプロトコルに加え、物流GHG排出量算定の国際的な業界ガイドラインであるGLEC Frameworkや物流GHG排出量の算定・報告に関する国際規格ISO:14083に従ったGHG排出量算定サービスを提供しております。
物流におけるGHG排出量の可視化をご検討の際は、ぜひお問合せください。










